高齢化社会の進行に伴い、住まいのバリアフリー化への注目が高まっています。特に外構・エクステリア部分は、高齢者が安全で自立した生活を送るために重要な役割を担っています。国土交通省の住宅ガイドラインによると、高齢期の住まいの備えは早い段階から行うことが望ましいとされており、外構工事もその重要な要素の一つです。

 

岐阜県多治見市・可児市・土岐市を中心に外構工事・エクステリア・庭リフォームを手がける斉藤建設株式会社です。高齢化社会の進行とともに、住まいのバリアフリー化への関心が高まる中、外構部分の設計は特に重要な要素となります。本記事では、バリアフリー外構の基本概念から具体的な設計ポイント、法的基準、そして当地域の特性を踏まえた配慮事項まで、専門業者の視点から詳しく解説いたします。

 

バリアフリー外構とは?基本概念と必要性


 

バリアフリー外構の定義

バリアフリー外構とは、高齢者や身体に障がいのある方が安全かつ快適に住宅の出入りができるよう、段差の解消や手すりの設置、滑り止め対策などを施した住宅周辺環境の整備を指します。単なる段差の除去にとどまらず、利用者の身体機能や生活動線を考慮した総合的な設計アプローチが求められます。

国土交通省のガイドラインでは、高齢者が安全・安心で身体的・経済的負担が少なく、外出や家事に便利な住まい環境の実現を目指しており、外構部分はその重要な構成要素として位置付けられています。

 

高齢者住宅における外構の重要性

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、65歳以上の高齢者のいる世帯の45.4%が一定のバリアフリー化住宅に暮らしていますが、外構部分のバリアフリー化は室内に比べて遅れているのが現状です。

高齢者の住宅内事故発生場所
割合
主な要因
玄関・アプローチ
18.2%
段差、滑り、つまずき
階段
26.1%
踏み外し、手すり不備
庭・外周
12.7%
不整地、照明不足
その他
43.0%
浴室、トイレ、居室等

参照:国土交通省「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」

この統計からも分かるように、外構・アプローチ部分での事故は全体の約3割を占めており、バリアフリー外構の重要性が裏付けられています。

 

バリアフリー外構の具体的な設計ポイント

アプローチと階段設計

バリアフリー外構における最も重要な要素の一つが、道路から玄関までのアプローチと階段の設計です。住宅品質確保促進法に基づく「高齢者等配慮対策等級」では、以下の基準が定められています。

アプローチ設計の基本要件

  • 勾配基準:車椅子利用を考慮した場合は5%(1/20)以下、杖歩行者を考慮した場合は8%(1/12.5)以下
  • 通路幅:有効幅員780mm以上(車椅子利用者は900mm以上推奨)
  • 階段寸法:蹴上150mm以下、踏面300mm以上
  • 踊り場:高低差750mmごとに踏面900mm以上の踊り場を設置

スロープ設置が困難な場合は、踏面の広い階段設計と併用手すりの設置により、安全性を確保することができます。多治見市や可児市の傾斜地住宅では、特にこの配慮が重要となります。

 

手すりと照明設備

手すりの設置は、高齢者の移動安全性向上に直結する重要な設備です。建築基準法に基づく設計では、以下の仕様が推奨されています。

連続手すり

設置高さ:750mm~850mm(床面から)

握り径:32mm~36mm

壁面からの距離:40mm以上

材質:滑りにくく温かみのある樹脂製または木製

照明設備

照度基準:階段部75ルクス以上、アプローチ50ルクス以上

設置位置:足元を明るく照らす配置

センサー式:人感センサー付きで自動点灯

光源:LED使用で省エネ・長寿命

参照:住宅金融支援機構「バリアフリー住宅ガイドブック」

特に土岐市などの山間部では、夕暮れ時の視認性確保が重要であり、適切な照明計画が求められます。

 

 

路面材料と防滑対策

外構の路面材料選択は、安全性と機能性を両立させる重要な要素です。特に多治見市の高温多湿な夏季と、可児市・土岐市の冬季の凍結対策を考慮した材料選択が必要です。

材料種類
防滑性
耐久性
地域適性
インターロッキングブロック
多治見・可児・土岐全域
刷毛引きコンクリート
平坦地・緩勾配
天然石材(御影石等)
表面加工必須
透水性舗装材
雨水対策重視地域

参照:国土技術政策総合研究所「サービス付き高齢者向け住宅の計画手法」

 

法的基準とガイドライン

建築基準法とバリアフリー法

バリアフリー外構の設計において準拠すべき法的基準は、主に建築基準法、高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)、および住宅品質確保促進法に基づく住宅性能表示制度があります。

建築基準法では、共同住宅等における外構部分の基準が定められており、特に手すりの設置や通路の有効幅員について具体的な数値基準が示されています。一方、戸建住宅においては強制力のある基準は少ないものの、住宅性能表示制度の「高齢者等配慮対策等級」に準拠することで、将来的なリスク軽減と資産価値向上が期待できます。

 

高齢者等配慮対策等級

住宅性能表示制度における「高齢者等配慮対策等級」は、等級1から等級5まで設定されており、外構部分についても評価対象となっています。

等級3(基本レベル)

通路幅:780mm以上

段差:20mm以下

勾配:1/12以下

手すり:階段部分に設置

等級4(推奨レベル)

通路幅:850mm以上

段差:解消または20mm以下

勾配:1/15以下

手すり:連続手すり設置

照明:足元照明設置

等級5(最高レベル)

通路幅:900mm以上

段差:完全解消

勾配:1/20以下

手すり:両側設置・回り込み形状

表面:滑り抵抗性確保

参照:住宅品確法に基づく住宅性能表示制度

等級4以上の取得により、住宅ローンの金利優遇や税制上の特例措置を受けることが可能となり、初期投資を上回る経済効果が期待できます。

 

多治見市・可児市・土岐市での地域特性と配慮事項

気候特性を考慮した外構設計

岐阜県東濃地域の多治見市・可児市・土岐市は、内陸性気候により夏季の高温と冬季の寒冷という特徴的な気象条件を持ちます。気象庁データによると、多治見市では夏季最高気温が40℃を超える日もあり、一方で冬季には氷点下まで冷え込むことから、これらの気候変動に対応したバリアフリー外構設計が不可欠です。

東濃地域の気候対応設計ポイント

  • 夏季対策:日陰を確保するパーゴラや植栽配置、路面温度上昇を抑制する透水性舗装の採用
  • 冬季対策:凍結防止のための融雪設備設置、滑り止め性能の高い路面材料選択
  • 降雨対策:梅雨時期の排水性能向上、雨天時の滑り防止対策の強化
  • 強風対策:台風時の飛散物対策、構造物の耐風設計

特に土岐市の山間部や可児市の丘陵地では、地形的な特性により風の影響を受けやすく、手すりや照明器具の設置時には耐風性能を重視した設計が求められます。

 

費用対効果と助成制度

バリアフリー外構工事の初期費用は、一般的な外構工事と比較して15~25%程度の増額となりますが、長期的な視点での費用対効果は非常に高く評価されています。厚生労働省の調査データによると、高齢者の転倒による医療費は年間約2兆円に達しており、予防的なバリアフリー化により将来的な医療費負担軽減効果が期待できます。

工事項目
標準工事費用
バリアフリー仕様
差額
アプローチ舗装(20㎡)
30万円
40万円
+10万円
手すり設置(10m)
25万円
+25万円
照明設備(LED・センサー付)
15万円
25万円
+10万円
スロープ設置(勾配1/15)
60万円
+60万円

参照:厚生労働省「住宅セーフティネット制度における居住支援」

多治見市・可児市・土岐市では、高齢者住宅改修費助成制度により、バリアフリー外構工事費用の一部助成を受けることができます。各市町村により助成内容は異なりますが、工事費用の20~30%程度の助成が一般的で、上限額は20万円~30万円程度に設定されています。

また、介護保険制度における住宅改修費支給制度を併用することで、さらなる費用負担軽減が可能となります。要支援・要介護認定を受けた方を対象に、20万円を上限として工事費用の9割が支給されるため、実質的な自己負担額を大幅に抑制することができます。

 

安心で快適な住環境実現に向けて

バリアフリー外構は、高齢者の安全性確保と自立生活支援において極めて重要な役割を担っています。国土交通省のガイドラインに示されているように、高齢期の住まいの備えは早い段階から行うことが望ましく、特に外構部分は後からの改修が困難な場合が多いため、新築時やリフォーム時に適切な配慮を行うことが重要です。

多治見市・可児市・土岐市の地域特性を活かしたバリアフリー外構設計では、夏季の高温対策と冬季の凍結対策の両立、地形的条件に適した設計の採用、地域の助成制度を活用した経済的な施工計画の立案が成功の鍵となります。

住宅品質確保促進法に基づく高齢者等配慮対策等級の基準に準拠し、将来的な身体機能の変化にも対応できる柔軟性を持った設計を行うことで、長期にわたって安心で快適な住環境を維持することが可能となります。

専門的な知識と豊富な経験を持つ外構工事業者との連携により、個々の住宅事情と利用者のニーズに最適化されたバリアフリー外構の実現を図ることが、超高齢社会における住まいづくりの重要な課題解決につながるでしょう。

 

 






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